子作り治療 最前線

顕微鏡用いた「低位結紮術」で精子異常男性の6~7割が改善

デスクワークなら翌日から仕事が可能(C)日刊ゲンダイ

 顕微鏡下低位結紮術は、全身麻酔もしくは局所麻酔で行う。そけい部(太ももの付け根)を1~2センチ切開して、精索という膜の中にある精巣静脈のみを結んで結紮切断(縛って間を切る)する。この時、動脈やリンパ管は傷つけないことが大切だ。

 精巣動脈周囲にある細かい静脈も顕微鏡を使って確実に結紮切断することで静脈瘤は消失する。手術時間は1時間程度で、デスクワークなら翌日から仕事が可能。再発率は2%以下という。

「手術を受けてから精液所見が改善するまでには、おおよそ3~6カ月かかる。そのため早く妊娠を望むカップルは、手術よりもART(体外受精や顕微授精)を選択することが多いのですが、精子の状態が悪ければその治療成績も落ちる。ですから、ARTと並行して精索静脈瘤の手術をするのが有効な治療といえます」

 最近分かってきたのは、手術によって精子の「質(DNA断片化率)」が改善されることだ。精液所見よりもずっと早い術後2カ月くらいで改善してくる。ARTをしなくても、手術だけで自然妊娠する人も20%以上いるという。

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