Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

東てる美さんTV企画で判明 肺腺がんは早期発見でほぼ治る

東てる美さん(C)日刊ゲンダイ

■禁煙効果は女性なら11年

 東さんは喫煙者のようですが、肺腺がんは女性ホルモンのひとつ、エストロゲンとの関係が指摘されています。エストロゲンは喫煙との相乗効果で、発がんに関連する遺伝子に作用する可能性があるのです。喫煙習慣のある男性と比べると、喫煙習慣のある女性の方が、より肺腺がんを発症しやすいのはそのため。

 初潮が早いほど、閉経が遅いほど高リスクという研究結果も報告されています。エストロゲンの影響がうかがえますが、禁煙の効果が高いのは女性です。男性喫煙者が、たばこを吸わない人並みにリスクが下がるのは禁煙して21年といわれますが、女性は11年で発がんリスクがリセットされます。

 女性に多い肺腺がんを防ぐには、なるべく早く禁煙して、毎年検診を受けることが大切。東さんも中村さんも治療は手術ですが、放射線の治療効果は手術と同レベル。1回1分ほどの照射で、4回の通院で完治します。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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