人生100年時代を支える注目医療

最先端の検査機器と19人の専門医で輸入感染症に立ち向かう

大曲貴夫センター長(C)日刊ゲンダイ

 とりわけ外国人受診者の多い同院は、日本語を話せない患者を対象とした「国際診療部」を3年前に設置。通訳を介した診療は「英語」「中国語」「韓国語」「ベトナム語」、電話通訳を介した診療を含めると13カ国語に対応しているという。

 また、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症の疑いのある患者の場合は、他の外来患者にうつさないように同センター内にある専用の診察室で対応。常勤医師10人、非常勤医師9人で診療にあたっている。

「蚊が媒介するマラリアは国内の発症はありませんが、日本人が海外渡航して帰国してから発症するケースが毎年60例ほど報告されています。そして、少ないが亡くなる人もいて、その原因の多くは診断の遅れです。帰国して体調が悪くなったら、医師に渡航歴を必ず伝えることが重要です」

 マラリアの治療薬は、国内では数種類の内服薬が承認されているが、重症例で使う点滴薬は未承認。同センターでは、その点滴薬も常備しており、必要であれば臨床研究として使用しているという。

▽1997年佐賀医科大学医学部卒。聖路加国際病院内科、テキサス大学ヒューストン校感染症科、静岡がんセンター感染症科を経て、11年から同院勤務。12年同センター長、15年国際診療部部長兼務。〈所属学会〉日本感染症学会、日本臨床微生物学会、日本渡航医学会など。

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