がんと向き合い生きていく

お年寄りにも優しく簡便ながん検診の進歩に期待したい

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 そのためにも、課長さんは、お年寄りもがん検診を受けるようにすすめているそうです。

「がんを早く見つけて早く治療して、家に帰ってまた土いじりができる。これが一番ですよ」

 日本では、全死亡者の3分の1は、がんによるものです。75歳未満のがん死亡はこの10年で16%減少しましたが、超高齢社会で免疫力が落ちた後期高齢者のがんが増え、がん死亡者数は増え続けています。そのため、75歳以上のがん検診をどうすればよいか。お年寄りに優しい、簡便な検診方法はないか議論されています。

 がん検診受診率は75歳未満でもなかなか50%に達しません。また、がん検診を受けて問題がなかったからといって、体にがんがないということでもありません。もっと体の負担が少ない検診ができないものでしょうか。たとえば、採った尿を検査所に郵送するような簡便な方法でがんが分かるなら、若い人でも大歓迎だと思うのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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