■犬や線虫を使った方法も
先ほどの課長さんは、「ある町では犬でがん検診を行っていると聞きましたが、実際のところどうなのでしょうか」とおっしゃっていました。
犬がにおいでがんを見つけるというもので、がん探知犬は、患者の息(呼気)、尿、便汁のにおいでがんの診断ができるといいます。確かに、犬の嗅覚は人間よりはるかに優れており、実際にがん検査に利用されているところもあるようです。
しかし、がん探知犬の育成には多額の費用がかかったり、犬の集中力に左右されるため、1日で調べられる検体数が少ないといったハードルもあると聞きます。
1ミリほどの大きさの線虫の嗅覚を利用したがん検査の研究も進んでいます。専門誌によると、線虫は好きなにおいの方に誘導され、嫌いなにおいには忌避行動を示すそうで、がんのにおいが好きだといいます。寒天プレートの片側にがん患者の尿などのにおいの検体を置き、中央に線虫を置くと、30分~1時間で検体の方に移動するというのです。これなら安価にたくさんの検体検査が可能な上、早期がんでも成功率が高いそうです。周囲の環境や生物そのもののコンディションの影響を受けやすいとされていますが、実用化のために、さらなる臨床研究が企画されているようです。
がんと向き合い生きていく