医者も知らない医学の新常識

食物繊維の効果がある便秘症は一部だけ 悪化するタイプも

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 皆さん便秘に苦しんでいませんか? お腹が張って便が出ないことのツラさは、なってみないと分かりません。実にツラい。便秘にならないためにはどうすればいいのでしょうか? 
「水をたくさん飲みなさい」「食物繊維をたくさん取りなさい」というのは必ず言われるアドバイスです。しかし、これを真に受けて、強い便秘症の人がたくさんのキノコや海藻などを食べると、かえってお腹が張ったり、便が出にくくなったりすることがあります。

 実は食物繊維で効果があるのは、一部の便秘症に対してだけで、むしろ食べ過ぎると悪化するようなタイプの便秘症もあるのです。

 食物繊維というのは便をつくる材料のひとつです。食物繊維を食べる量が少ないと、それだけつくられる便の量が少なくなるので、排便の回数が減って便秘になるのです。

 こうした便の量が少なく、排便の回数も少ないような便秘症では、食物繊維は効果があります。しかし、腸の動きが悪くて便秘になっているような場合には効果がないばかりでなく、腸が詰まりやすくなって便秘が悪化する可能性もあるのです。

 科学的に食物繊維の効果が確認されているのは、食事の食物繊維がうんと少ない場合だけで、食物繊維の不足がない時には、その有効性は確認されていないのです。

「便秘だから食物繊維をたくさん取ろう」というのは、いつも正しいとは限らない点に注意が必要です。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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