独白 愉快な“病人”たち

落語家・柳家花緑さん 視聴者からの質問で発達障害を確信

柳家花緑さん(C)日刊ゲンダイ

■落語のおかげで“居場所”があった

 発達障害という病気にはいろいろ種類がありまして、ボクの場合は主にADHDと多弁症、そしてディスレクシアです。

 学校では落ち着きがなく、注意を受けてもそれを繰り返してしまい、しゃべり出すと止まらない問題児でした。まぁ、そのおしゃべりのおかげで今、生活できているわけですけどもね(笑い)。知的能力には問題ないのですが、読み書き、計算、勉強全般がダメで、小・中学ともに授業は苦痛でしかなく、テストはほぼ白紙でした。当時、発達障害という病名もなかったので、先生は本気で怒るし、自分でも劣等感の塊になりました。引きこもりや登校拒否にならなかったのを褒めてあげたいくらいです。

 ただ、ボクが恵まれていたのは身近に落語があったこと。9歳から始めた落語のおかげで“勉強はできないけど面白い”と認められ、クラスの中で自分の居場所があった。さらにいえば、家庭環境に恵まれていました。この病気に遺伝性があるかどうかは分かりませんが、実は、祖父で師匠の柳家小さんも子供の頃は話が止まらず、学校では問題児だったようです。でも、面白い話をするので人気があったと聞いています。その血を引いた母親も実は話し出すと止まらない人。だからなのか、勉強ができないことをそれほど重視していなかった。これがもし勉強至上主義の親だったら、ボクの居場所はどこにもなかったと思います。

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