医師が要注意と解説 汗をかかず熱中症になるのはこんな人

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 過去最悪の更新が続きそうだ。22日までの1週間に熱中症で搬送された人は過去最高の2万2647人で、死者も65人と過去最多だ。今週は先週より暑い。週末は、台風が本州に上陸する見込みで、暑さが一段落しそうだが、台風が通過する週明けは、熱波が再び戻ってくる。体調を崩す人はまだまだ増えるだろう。

 では、どんな人が危ないのか。東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌医師が言う。

「熱中症のイメージとしては、炎天下で汗をダラダラ流して脱水しているような人を思い浮かべるでしょう。もちろん、そんな人も危ないですが、熱中症で倒れるのは4割が屋内。はた目には、汗をかかず、涼しげにしている人が、意外と要注意なのです」

 記者は先週末、東京・お台場でバーベキューを楽しんだ。そこは屋根付きのスペースがあり、強い日差しを避けることができる。さらに念には念を入れて、女性はつばの広い帽子やサングラスで日差しをブロックしながら、肉をほおばっていたが、そのうちのひとり、汗ひとつかかずに涼しそうにしていた女性が体調を崩し、熱中症になってしまった。

「汗をかけないと、体温が下がりません。バーベキューの放射熱も重なると、体温が上がりっ放しになる恐れがあるのです」(桑島氏)

 汗をかけないタイプには特徴がある。まずは、女性や高齢者で、女性の場合、近くでもバッチリメークで外出するようなタイプは見た目を特に気にするクチで発汗を毛嫌いする。運動も嫌いで、汗をかけない体質の人が珍しくない。高齢者は、トイレが近くなることを嫌がって、水分摂取をためらう傾向がある。加齢による自律神経の反応の鈍さも重なって、暑いという感覚も弱まり、気温の上昇とは裏腹に汗をかかない、かけない人が目立つという。

「アルコールには脱水作用がありますから、水分摂取にはなりません。働き盛りの男性が熱中症になるのは、概して酒好きで、翌朝、水分補給が不十分なまま、炎天下の外回りに出たりするケースです。すでに脱水状態ですから、汗をあまりかかず、熱中症になります」(桑島氏)

 かくして、汗をかいていない人ほど要注意だ。

関連記事