Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

40代女性が肺がんで死亡 検診の見落としを防ぐには?

疑問点があれば質問を

 その後の調査で、14年9月以降にこのクリニックで検査を受けた9424人の画像を見直し、44人が「要精密検査」になっています。あってはならないことですが、検診結果が見落とされる可能性は残念ながらゼロではありません。

 車でたとえると、検診はシートベルトの役目です。シートベルトをしていても、事故で死亡するリスクをゼロにはできませんが、リスクを大きく減らすためには役立ちます。では、そのリスク低減効果をしっかり得るには、どうするか。

 たとえば、日本人間ドック学会は、健診施設を機能評価していますから、その認定を受けている施設で受けるといいでしょう。もうひとつは、千葉大などでの見落としの時にも触れましたが、検査結果のリポートを受け取り、診断に疑問点があれば積極的に質問すること。

 それでも違和感があれば、セカンドオピニオンを求めることが大切です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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