実録 父親がボケた

<14>知人の訃報に「葬儀に行かねば!」と大興奮状態に

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 特養の契約書の中身を少しだけ紹介しておこう。

 急変時における延命などに関する意思確認書(蘇生処置をするか否か)、生命維持が困難になってきた場合の医療処置、食事を経口摂取できなくなった場合、管で栄養を通すIVH(中心静脈栄養)や末梢点滴、経鼻経管栄養、胃ろう造設を希望するかどうか、などなど。また、転倒時のケガなど予測不能な事故に関して、施設は責任を負わない・訴訟もしないという念書もあった。 

 努めて冷静にサインしようと心掛けた。以前、姉とは「胃ろうはやめよう」と話してはいたのだが、いざ父の命の選択肢をその場で迫られると、頭の奥がしびれて熱くなった。母が余計な同情を募らせて入所を取りやめるなどと言わないよう、私は極力ドライな姿勢を装う。本当は、父の死を強制的に妄想させられて、脳内はひどく混乱していたのだが。

 冷徹に淡々と施設入所を選択しても、こういう細かい感情の揺さぶりは多々起こる。世の中、なんでもスッパリ快諾・解決なんて、本当はウソだ。人は弱い。

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