若い時代、随分と歌ったと思われる歌い慣れた人もいたし、逆に、メロディーと関係なく、声を張り上げている女性もいる。
同老人ホームの世話にボランティアで参加している社会福祉士の香川昇氏が言う。
「認知症が進んでいる入居者も、リクエストのメロディーが流れ、テレビ画面に曲が映った途端に目をカッと開き、しっかり3番まで歌っています。歌い終わると、口をへの字に結んで下を向いています。カラオケはとくに聴覚、視覚の活性化で、認知症予防策になっていますね」
途中から、参加者たち全員の合唱になり、曲名が「青い山脈」になった。
永田穂積施設長は、「カラオケは大声で歌うことによって肺活を丈夫にして老人特有の肺炎防止にもなります。運動能力を高めるために、歌いながら振り付けを行うこともあります。認知症が進行している入居者も多いのですが、カラオケはその防止策のひとつとして最高でしょう」と語る。
カラオケ療法