日本をはじめ、北米、ヨーロッパでも、異常な熱波やそれに伴う山火事などの災害が伝えられています。そんな中、「このまま地球温暖化が進むにつれて、自殺率も上がっていく」という調査が発表され、波紋が広がっています。
アメリカとメキシコ各地の1960年代以降の気候変動と、自殺率のデータを分析した結果を発表したのは、気候変動に関する専門誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」です。
分析によれば、1カ月の平均気温が1度上がるごとに、アメリカでは自殺率が0.7%、メキシコでは2.1%上昇したとのことです。一方でツイッターのつぶやき5億件からは、暑い季節ほど自殺をほのめかす抑うつ的な内容の言葉が多く見られたといいます。
この結果を踏まえて、今後も温暖化の勢いが止まらなければ、2050年までに気温は2.5度上昇し、アメリカとメキシコだけでも2万1000人が自殺する恐れがあると結論付けています。
アメリカでは1999年以降、自殺率が上昇の一途をたどり、全米50州のうち約半分で過去17年間の上昇率は3割を超えています。2016年の自殺の件数は4万5000人に達し、アルツハイマー病、ドラッグ過剰摂取とともに最も増えている死因のひとつとなっているのです。
調査のリーダーであるスタンフォード大学のマーシャル・バーク教授は、「温暖化だけが唯一の自殺のリスクにはならない」としながらも、「温暖化で今後、何が起こるのか、心の健康にもたらす影響も含めて注意深く見ていく必要がある」とコメントしています。
2015年のパリ協定では、気温の上昇を産業革命以前の気温の2度以内に抑えるという目標を策定しましたが、トランプ大統領は協定からの脱退を宣言。
オバマ時代に設定された環境規制を次々に緩めています。
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