救命救急専門医が語る 熱中症リスクの高い人とその対処法

就寝時もエアコンはつけっぱなしに(C)日刊ゲンダイ

「こうした傾向は高齢者だけにとどまりません。それ以外の人でも定職に就いていない、収入が低いなど経済的に恵まれていない人、あるいは身体的に恵まれていない人は、コミュニケーション力が低く、熱中症のリスクが高くなりがちです。実は熱中症は人的つながりと相関関係のある病気であり、日本社会の人的つながりや経済状況などを映す社会の鏡という側面があるのです」

■エアコンは自分が心地良い室温と湿度に設定

 中途半端な熱中症の常識が、増加や重症化に拍車を掛ける場合もある。よく聞くのが「エアコンはつけていたのに熱中症になった」という人のケースだ。

「救急隊員に聞くと『確かにエアコンが動いていたのですが、それは冷房でなく乾燥(ドライ)だった』という場合が多い。また、室温28度がベストと聞いてエアコンのリモコンを28度に設定している人も多いのですが、それはエアコンの送風口の温度を指すのか、それともエアコンが当たっている人の近くの温度を指すのかで違ってきます。また、フィルターにホコリがたまっているエアコンか、最新式かでも設定温度と実際の室温は違ってくるでしょう。それを考えずに、ただリモコン設定を28度にしているケースが多いのです」

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