部位別の発生率は、直腸が4割と最多で、左側が7割。左側の大腸がんは、病期がそれほど進行していなくて、比較的小さい腫瘍が多いのに対して、右側は進行していて、大きな腫瘍が多いのが特徴です。右側の方が発見が遅れやすいためではないかと考えられていましたが、左右でがんに関わる遺伝子異常にも違いがあることが分かってきました。
発見が遅れやすいというのは、右側の方が肛門までの距離が長く、出血した血液が酸化して黒くなりやすい。鮮血が出る左側の直腸がんより分かりにくいとみられていましたが、そんな発見しにくさだけでなく、遺伝子異常の影響もあるということです。
では、どれくらい生存期間が異なるか。米カリフォルニア大などの研究チームは、右側にできた293人と左側にできた732人を追跡。生存期間の中央値は、左側が33・3カ月でしたが、右側は19.4カ月でした。大腸がん患者110人を解析した日本の研究では、左が36.2カ月で、右は12.6カ月と、2年近い開きがあったのです。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁