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脂肪量が多いほど…肥満と死亡に関する新しい研究結果が

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 肥満度の指標であるBMIが高くても低くても死亡の危険が増すと繰り返し書いてきました。この件に関し、英国医師会雑誌に新たな研究結果が発表されました。

 この研究は、40~75歳の医療従事者の男性を対象としています。BMIと死亡の関係について、22.5~24.9で最低、18.5未満で1.74倍、27.5~29.3で1.31倍危険という、やせでも肥満でも死亡リスクが高いという結果です。

 さらに、この研究では身長で補正した脂肪量と脂肪を除いた体重と死亡の関係も検討しています。ここで、これまでにない新たな知見が報告されました。脂肪量と死亡の関係で見ると、脂肪量が多くなればなるほど死亡の危険が増加し、脂肪量が下位20%のグループで最も死亡が少なく、脂肪量の増加に伴い徐々に死亡リスクが増大し、上位20%で1.51倍リスクが高いという結果です。

 それに対し、脂肪を除いた体重と死亡の関係では、下から20~40%のグループの死亡リスクが最も低く、下位20%では1.08倍、上位20%で1.35倍リスクが高く、BMIでも同様で、高くても低くても死亡リスクが高いという結果です。

 この結果から予想されることは、BMIと死亡の関係は、脂肪量と死亡の関係ではなくて、むしろ脂肪を除いた体重と死亡の関係を反映しており、脂肪量と死亡の関係を表していたわけではないということです。

 脂肪量が多いほど、脂肪を除いた体重が少なすぎても多すぎても死亡リスクが増える、これが現時点での体格と死亡の関係ということのようです。

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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