がんと向き合い生きていく

X線を一から教えてくれた先輩をがんで亡くして考えたこと

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 東日本大震災で起こった原発事故の時、ある放射線専門家は「低い線量だから大丈夫」と言っていました。研究者によってさまざまな意見がありますが、あれから7年が経ち、いま福島では甲状腺がんが多く発生しているのではないかと議論されています。これから、がんの発生が増えないことを祈ります。

 がんだけでなく、福島原発事故は、ほかにもたくさんの問題を抱えています。放射能汚染水の処理はどうするのか、2000万個以上もの除染土の袋はどうするのか、そして被ばく労働者はどう保障されるのか……。

 青森県の寒村だった六ケ所村は、日本中の原発から“核のゴミ”が集められる「六ケ所再処理工場」建設を受け入れ、村民の所得が日本一になったそうです。「命を金で売った」「地震が怖い」といった声も聞かれましたが、今年6月の村長選挙では、原発推進派の候補者が圧倒的な勝利を収めたそうです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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