Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

死亡率が低い女医の患者 その対応力は男性医師も学ぶべき

女性は説明が丁寧(C)PIXTA

 その差は、患者に寄り添ったコミュニケーションを取れるかどうか。そこが大きな違いだと思います。

 たとえば、肺がん検診で早期の肺がんが見つかったとします。早期なら手術か放射線でほぼ治ります。その2つの治療法は、肺がんの診療ガイドラインにも書かれていますが、それを杓子定規に説明しがちなのが男性医師で、「つらいですよね」「仕事も心配ですよね」などとショックを受けている患者の立場を考えながら、説明するのが女性医師です。

 今やAI(人工知能)の胃がん診断率は9割。杓子定規な診断や説明ならAIで十分でしょう。そういう時代になりつつあります。しかし、患者に寄り添う説明は、AIにはできません。それができるのが女性医師です。男性医師も患者に寄り添う対応が求められていると思います。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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