実録 父親がボケた

<16>施設の部屋の掃除がずさん…汚していたのは父だった

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 今年3月末。ようやく父が特養に入所した。

 新築なので、どことなく建材のニオイも残っている。でも糞尿のニオイよりはましだ。入所者はまだ揃わず、活気はない。介護士はいるものの、体制はまだ完璧ではない。部屋の掃除も行き届いていない……と思っていたのだが、実は違っていた。

 部屋にはポータブルトイレが置かれており、なぜかトイレットペーパーやティッシュがちぎられ、山のように積んである。紙縒りを細かくちぎったようなゴミは、部屋の床に無数に散っている。清掃員はちゃんと掃除してくれていたが、父自身が汚していたと判明。

 謎の行動はまだある。携帯ラジオのイヤホンコードが1センチ幅に切り刻まれ、ベッドの上に無残に散っていた。なんなの、このちぎり癖は? 施設にいることを理解できず、心の叫びを表現してみた新種のアート? 

 もちろん父に理由を聞いてもわからない。目くじら立てても仕方ない。掃除すれば済む話だ。心は広く、部屋は清潔に。クイックルワイパーを部屋に備えつけることにした。

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吉田潮

1972年生まれ、千葉県出身。ライター、イラストレーター、テレビ評論家。「産まないことは『逃げ』ですか?」など著書多数

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