実録 父親がボケた

<16>施設の部屋の掃除がずさん…汚していたのは父だった

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 母は2~3日に1度、私は10日に2度の割合で施設を訪れる。最初は、父が慣れるまで頻繁に行こうと決めた。母の友人から聞いた話では「3カ月が勝負」だそう。3カ月いれば、家だと思うようになる、それまでの辛抱だという。心強い。

 ただし、ちょっと不便な場所にある。母は自転車とバスで通うが、本数が少なく時間通りに来ない赤字路線だ。バス停で40分も待ったことも。これが母の気持ちをそいでしまう。

 私は電車とバスで片道1時間半。自分が生まれ育った地なので、ちょっと郷愁・旅気分。面倒くさいが苦ではない。

 施設に行って何をするかというと、歩行訓練と手足のマッサージ、ひげそりや歯磨きのケア、トイレ介助に紙パンツ交換。差し入れの果物や甘味を食べさせることもある。新聞や雑誌も持参するが、父が記事の内容を把握できているかどうかは微妙だ。

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吉田潮

吉田潮

1972年生まれ、千葉県出身。ライター、イラストレーター、テレビ評論家。「産まないことは『逃げ』ですか?」など著書多数

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