さらにヒトの幹細胞にゲノム編集を施した皮膚片を作り、マウスに移植したところ、やはり同様の結果が得られることが確認されたそうです。次はいよいよヒトに移植する臨床試験が期待されているのです。
実際の治療には、患者自身の幹細胞から作った皮膚片を移植することになるので、拒絶反応の心配はありません。うまくいけば、別のホルモンの遺伝子を使って、脂質異常症や高血圧・低血圧の治療も可能になるでしょう。
日本では、そうした直接的な治療法よりも、健康食品的な農作物の開発が好まれています。なかでも筑波大学で開発された、ガンマ―アミノ酪酸(GABA)を豊富に含んだトマトが、マスコミ等に大きく取り上げられました。GABAは精神的なストレスを緩和し、血圧を下げる物質として知られています。サプリメントのほか、最近ではチョコレートなどにも添加されています。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。