低体温症は持病を悪化させるだけでなく、持病が原因で低体温症を招くこともある。とくに気をつけたいのが糖尿病だ。神経障害の合併症が起きている人は、急激な気温低下に合わせて基礎代謝を上げて深部体温を上昇させることが難しい。
実際、それを証明する研究がある。55歳以下で朝食を抜いた集団を、インスリン治療を行っていて自律神経障害のある群、同じくインスリン治療中だが自律神経障害のない群、健常人群に分け、16度に保たれたカバーオールで45分間全身を包み、深部体温の変化を比べた。
結果、自律神経障害のある糖尿病の群は、冷気にさらされても手や足の血管を収縮するなど体温を維持するための反応が起きずに一部深部体温が下がった。
一方、健常者群は代謝を上げて対応し、深部体温が0.2度上昇。同じく自律神経障害のない糖尿病の群も深部体温が0.15度上昇した。