月に1度、ある病院に出向き、腫瘍内科医からがん患者の治療について相談を受けています。その中で、衝撃的な相談例がありました。
電子カルテを見ると、患者は40歳の男性で、進行した肺がんで右肺全摘術を行いましたが、がんはすべて取り切れませんでした。胸膜に残ったがんは急速に大きくなり、2カ月後には大きいもので径3センチと5センチほどになっていました。発熱など体の状態も悪化している状況で、そこから「免疫チェックポイント阻害薬」が使われました。すると、たった2回目の治療を終えた後に撮影したCT画像で、がんの影がほとんど消えたのです。
従来の抗がん剤治療ではあり得ない、これほどの効果は誰にも考えられません。これまでも免疫チェックポイント阻害薬で効果があった例は見てきましたが、このCT画像を目にして、私は「がん治療の時代は変わった」と思いました。
がんと向き合い生きていく