肺がん治療の領域では、10年ほど前に1度目の大きな進歩がありました。分子標的薬「ゲフィチニブ」(イレッサ)の出現です。発売された当初は、不幸にして副作用の肺障害で亡くなった患者がたくさん報告されました。しかしその後、がん細胞にEGFR遺伝子変異が認められた場合では70%以上に効くということが分かりました。
そして、がんのために寝たきりになっても脳に転移があっても、EGFR遺伝子変異があった患者ではこの薬を飲めれば多くは著しい効果が認められ、「死人を蘇らせる効果」とまで言われました。ただ、完全に治ることは少なく1年程度の効果で、その後は効かなくなることが多いのです。
■まだはっきり分からない点も多いが…
今回の免疫チェックポイント阻害薬は2度目の大きな進歩といえるでしょう。がんの免疫療法は昔からいろいろと工夫されてきましたが、すべて効果なしでした。民間療法的な、あるいは効きもしないのに“金儲け”のような信頼できない治療法も「免疫療法」とうたわれていたようにも思います。
がんと向き合い生きていく