子作り治療 最前線

新型出生前診断<2>あくまで非確定的検査 陽性なら羊水検査

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(写真はイメージ)(C)日刊ゲンダイ

 胎児の染色体疾患を調べる出生前診断は、「命の選択」につながるなど倫理的課題があるため、高年妊娠などハイリスク妊婦を対象とする特別な検査だ。

 国内では、2013年4月から「新型出生前診断(NIPT)」の臨床研究が認可施設で開始され、18年3月までの5年間で約5万8000人の妊婦が受けている。日本産婦人科学会は、今後、臨床研究から一般診療として認める方向性を示している。

 しかし、一方で無認可施設でNIPTが実施されているケースがあり、問題視されている。

 臨床研究の代表者を務める国立成育医療研究センター/周産期・母性診療センターの左合治彦センター長が言う。

「採血のみの簡単な検査だと思われがちですが、最も重要なのは検査前後の『遺伝カウンセリング』です。検査内容や対象疾患、適応と限界、解釈などの正しい情報提供を受けて理解し、検査の重みや検査を受けることについて、十分に考える機会がないと、望まない結果が出た場合に混乱を招くなど、大きな不利益を被ります」

 NIPTは、精度が高いといっても、あくまで非確定的検査。陽性が出たら羊水検査などの確定検査が必要になる。無認可施設では、遺伝カウンセリングが不十分なだけでなく、確定検査をしない施設もある。それで妊婦が安易に中絶を選ぶという事態が起こるのだ。

 認可施設では、検査前後のカウンセリング、確定検査、心理的ケアを含めた妊娠経過中のフォロー、小児科との連携などが実施できる体制が整っている。

 NIPTが一般診療になっても、実施できる施設には同じような体制が求められるだろうという。

「NIPTの一般診療化で、妊婦さんの出生前診断の選択肢が増えることになります。従来は出生前診断を希望する多くの妊婦さんが羊水検査を受けていました。偽陽性率の低いNIPTによって、多くの妊婦さんで羊水検査が回避できています」

 羊水検査は、お腹に針を刺して羊水を取るため、300人に1人の頻度で流死産が起こるリスクがある。NIPTの陰性的中率は99.9%なので、結果が「陰性」なら基本的には確定検査は不要になるのだ。

 NIPTの認可施設は日本医学会のホームページから閲覧できるが、35歳以上で検査を望むなら、まずは産婦人科の主治医に相談してみるといい。

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