過去のトラウマが原因で病気に…WHOも推奨の治療法とは?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 それには、心の中に占める過去の記憶を減らすだけではなく、「今・ここ」にいる状態を少しでも増やし、現在の体験を豊かにすることが重要だと白川院長は言う。

「その第一歩として、自分が安全だと感じる場所を思い浮かべたり、落ち着いている体の状態を再現したりできるような、自分なりのやり方を見つけましょう。EMDR療法を受ける場合も、『今は安全な場所で、つらかった過去の話をしているのだ』という思いを持つよう心がける必要があります」

 トラウマの治療が進み、「思い出しても安全だ」という体験を重ねていくうちに、感情と適切な距離が取れるようになり、記憶が過去のことと認識できるようになり、症状が出てきたときに、「これは症状なんだ」と分かるようになるという。

「トラウマを抱えた人は、トラウマの原因となった出来事は“自分の落ち度のせいではないか”“自分はそんな目に遭っても当然な人間なんだ”といった自分を否定する気持ちが強く、なかなか自分を認められません。頑張っている自分を褒めて、認めることが大切です」

 正しいやり方をすれば、トラウマからは回復できると白川院長は言う。関心のある人は日本EMDR学会の治療者リストに載っているセラピストに相談することだ。

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