役に立つオモシロ医学論文

ファストフードを週3回食べる人は重度の喘息患者が多い?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ファストフードとは、短時間で調理、あるいは注文してからすぐに食べられる手軽な食品のことです。ハンバーガーに代表されるように、その多くは脂肪分や塩分が多く含まれている高カロリーな食品といえます。

 近年、アトピー性皮膚炎や、喘息(ぜんそく)などのアレルギー性疾患が増加傾向にあるといわれていますが、その要因のひとつとして注目されているのが食習慣です。ファストフードの普及で食習慣は少なからず変化しているといえますが、こうした食事の摂取とアレルギー性疾患の関連性について、あまり明確なことは分かっていませんでした。

 そんな中、ファストフードの摂取とアレルギー性疾患の関連性を検討した研究が、2018年7月4日付でアジア太平洋呼吸器学会誌の電子版に掲載されました。

 この研究は、過去に報告された16件の研究データを統合解析(メタ分析)したものです。その結果、ファストフードを食べる人は、そうでない人に比べて喘息患者が58%、重度の喘息患者が34%、アレルギー性鼻炎の患者が43%、重度の湿疹患者が51%、いずれも統計学的に有意に多いという結果でした。特に、ハンバーガーを食べている場合や、ファストフードを週3回以上食べている場合に重度の喘息患者が多いと報告されています。

 この解析に含められた16件の研究はいずれも観察的な研究で、ファストフードの摂取とアレルギー性疾患の因果関係を決定づけるものではありません。したがって、統合解析された結果の妥当性は必ずしも高いものではないといえます。

 とはいえ、食習慣と喘息の関連性を示唆した研究も報告されており、食習慣を見直すきっかけとしてファストフードに注目するのはいいかもしれません。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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