天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

犬を飼っているとストレスが癒やされて心臓病リスクが減る

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 犬を飼っている人は心臓疾患にかかるリスクが減る――。海外にはこんな調査の報告があります。スウェーデンの研究チームが340万人を対象に12年間にわたって医療記録を分析したところ、一人暮らしで犬を飼っている人は、飼っていない人に比べて心血管疾患で死亡するリスクが36%低く、家族と同居している人でも15%低かったそうです。

 犬を飼うことがどうして心臓病を減少させるのかについてははっきりしていませんが、論文の著者は「犬の散歩などで飼い主が体を動かす機会が増えたり、犬との触れ合いが孤独感やストレスを癒やし、健康にいい影響を与えている可能性がある」としています。

 実際、ストレス解消=リラックスすることは、心臓を守るうえで非常に大切です。ストレスを受けると交感神経が優位になり、神経伝達物質のアドレナリンが大量に分泌されます。アドレナリンは心拍数を増加させて血流を増やす効果と、血管を収縮させる効果で極端に血圧を上昇させます。その結果、心臓の負担が増えてしまうのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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