冷房、寝具は…長引く夏風邪から回復する“温度管理”のコツ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 手足口病とプール熱、ヘルパンギーナは、子供が夏風邪を起こす3大要素で、長野では国の警報レベルを超える流行を見せている。そんな大流行のせいか、大人も夏風邪に苦しんでいる人が少なくない。体調を戻すにはどうすればいいのか。

 医師で感染症コンサルタントの岸田直樹氏に話を聞いた。

「子供の3大夏風邪を起こすウイルスには、エンテロウイルスやアデノウイルス、コクサッキーウイルスなどがあります。小児がこれらのウイルスに感染すると、通常の風邪よりも症状が強く、長引きやすい。しかし、猛暑による熱中症や疲労、クーラーによる体の冷えなどで、免疫力が低下すると、大人も感染することがあります。成人で夏風邪が長期化するのは、体調管理が悪くなったことが影響しやすい」

 全国各地で40度を記録する猛暑だ。そんな暑さを避けるため、オフィスや電車内は、クーラーが効いている。

 その温度差は、15度前後になるケースもある。体温調節は大変だし、寝苦しい暑さから睡眠不足で、疲労が蓄積されやすい。そんな悪循環でウイルスに感染するのが、夏風邪をこじらせる要因だという。

 眠るためと、クーラーをかけていると、それはそれで喉に悪そうだが……。

「大切なのは、クーラーを使うかどうかではなくて、十分な睡眠がとれるかどうか。暑くて寝づらいときは、上手に涼しい環境をつくることです。上手とは、どういうことか? 私は、クーラーではなく、氷枕を愛用しています。寝具で体感温度を調整するのは良いと思います。汗をシャワーなどでサッと流したら、かけるのはタオルケットだけでもいい。日本は、風邪のときに体を温めますが、米国では逆。水風呂で冷やします。ということは、その人が過ごしやすい温度を保てばいいのです」

 熱中症で搬送される中高年は、「クーラーは体に悪い」という思いから、クーラーを使わないケースが珍しくない。冷風が体に直接あたらないようにしたり、タイマー設定で室温を調整したりすればいい。

 冬に風邪をひいたら、部屋の湿度を上げることがあるが、夏は?

「湿度を高めるのは、鼻症状の緩和や喉の乾燥を防ぐのが目的です。しかし、夏に加湿すると、不快感が増すので、やりすぎは要注意です」

 快適さ優先でいいということだが、症状として咳が出る人は、暑苦しくても外出時にマスクは着用する方がいいという。

「咳やくしゃみでウイルスをまき散らさないためです」

 感染が周りに広がると、ピンポン感染で再び自分に戻ってくる恐れがある。それも、夏風邪を長期化させる要因だ。

 熱が長引いているときは、微熱でも受診するのが無難だ。

「夏風邪の症状は、咳、鼻汁、喉の痛みなどですから、様子を見る人は少なくないでしょう。それでも10日まで。10日を過ぎてもよくならなければ、受診すること。夏風邪のウイルスは、まれに髄膜炎や脳炎、筋炎など命にかかわる重篤な症状を引き起こすことがあります。風邪の症状がなく、38度近い熱が3日以上続く、強い頭痛がある、体重が減る、だるさが続く、というケースは、受診してください」

 たかが夏風邪でも、安易な自己判断は禁物だ。

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