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2020年実用化へ最終段階 「線虫」が尿からがんを見つける

魚住隆行所長(C)日刊ゲンダイ

 具体的には、シャーレ(容器)の中央に50~100匹の線虫を配置し、シャーレの隅に希釈した尿を1滴垂らす。1時間ほどして、尿に線虫が多く集まっていればがんである可能性がある。これを同一の尿で複数回繰り返し検査するという。

 においをキャッチする嗅覚受容体(センサー)は人間で約350種類、犬で約800種類。対して目を持たない線虫は1200種類ある。がん患者の尿に含まれる何らかの物質のにおいに反応していると考えられるが、その物質の正体は分かっていない。既存のにおいを検知する最新機器をもってしても、がん患者と健常者の尿のにおいの違いは鑑別できないという。

「従来の人工機器を使うがん検査では、高精度と低コストを両立するのは難しい。当社の『N―NOSE』なら、主要ながんを含む18種のがんが早期発見できるので、最初に受ける1次スクリーニングに非常に適しています。実用化後の検査費用は、1回8000円台と考えています」

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