実録 父親がボケた

<18>「お父さんかわいそう」母は自宅介護したいと言うが…

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ケアマネジャーにも相談したいと言う。多忙な人をつかまえて無意味な相談をしようなんざ愚の骨頂。気分は「サンデーモーニング」張本勲の「喝!」だ。

「今のまあちゃん(父のこと)は約3割がまともだけど、残りの7割は認知症患者なんだよ。認知症は今後どんどん進んで、まともなまあちゃんの割合は減るんだよ?」

 しかし、感情的になっている母にはまったく響かず。翌日、ケアマネにわざわざ時間をもらうことになった。

 ケアマネは穏やかな口調で「要介護度4で在宅介護は厳しいです。ご家族にお伝えしていませんが、夜中に排せつの失敗も多いです。特養を退所すると、その後何年も入所できないと思いますよ」と説得してくれた。驚くほどあっけなく納得する母。私も同様の話を散々したというのに!

 舌打ち百万回である。

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吉田潮

吉田潮

1972年生まれ、千葉県出身。ライター、イラストレーター、テレビ評論家。「産まないことは『逃げ』ですか?」など著書多数

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