そもそもウイルスは、自身が生き残るため宿主細胞のタンパク質を乗っ取る寄生体だ。そのため
細胞分裂を進めて細胞増殖を促進させる。DNAウイルスには固有の発がん機構がある。そこでつくられたウイルス性タンパク質には、強力ながん抑制因子であるP53遺伝子やRB遺伝子を不活性化する働きを持つものがある。
一方、RNAウイルスは、レトロウイルスとも呼ばれ、宿主細胞のDNAコピーなどを介してがん化させる。
「いずれにせよ、日本で感染症によるがんが多いということは、裏を返せば、感染症を抑えればがんは抑制できるということです。実際にピロリ菌除菌の普及により胃がん死亡者が減りつつあり、これががん予防に期待がかかり、声高に叫ばれる理由のひとつでもあるのです」
がんとは何か