子供がすぐキレる…「鼻詰まり」が脳や体に及ぼす影響とは

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 まずは<別表>を見てほしい。子供がこのどれかに該当するようなら、鼻詰まりを疑った方がいい。子供の鼻詰まりに詳しい「鼻のクリニック東京」理事長の黄川田徹医師に聞いた。

 鼻炎で鼻腔内の粘膜が腫れて空気の通り道がふさがると、鼻詰まりが生じる。大人にも子供にも見られるが、黄川田医師は「子供の慢性的な鼻炎による鼻詰まりが脳や体に及ぼす影響は、大人とは比較にならないほど大きい」と指摘する。

 鼻炎治療は、まず薬と鼻洗浄。改善が見られなければ手術が検討される。しかし、小児に対しては「薬で十分、手術まで行う必要がない」という考えが一般的だ。子供の鼻詰まりの深刻さが医師の間でも周知されていないのに加え、小さな鼻の中での手術は高度な技術が要求されるからだ。

 しかし、黄川田医師は、脳や体が盛んに発育している4歳から7歳児の時期にこそ鼻詰まりの治療に取り組むことが重要と考え、小児でも安全に受けられる手術法を確立。薬では良くならない鼻炎に対して用いている。

「子供の場合、体の成長を待ってから治療しても、それ以前に受けたダメージを取り戻すのは非常に困難だからです」

■子供の鼻詰まりは表面化しにくい

 具体的に、以下のダメージが挙げられる。

【顎の骨の発育の遅れ】

「鼻詰まりになると口呼吸になり、口呼吸が続くと顎の骨の発育が遅れ、歯並びが悪くなったり、上下の歯の噛み合わせがずれたりします。また口の中や周囲の筋力が低下し、成長後も口を開けたままの状態になりがちです」

【姿勢が悪くなる】

「酸素をたくさん取り入れようと、首を突き出したような姿勢で口呼吸をする。これが続くと、前かがみの姿勢が常態化してしまいます」

【熟睡できない、心身の発育が妨げられる】

「幼・小児の鼻詰まりで最も大きな問題は、睡眠を妨げることです」

 子供の睡眠は“脳の発育”という重要な役割を担っている。睡眠障害で脳の発育が妨げられると、集中力の低下、学習能力の低下、キレやすいなどの攻撃的行動、情緒不安定、意味もなく動き回る多動、知能の発達障害などが見られることが報告されている。また、背が伸びない、運動が苦手、日中の活動力が低下するなど、身体的な発育も阻害されることが報告されている。

【味覚障害】

「鼻から呼吸しないとニオイが分からないので、料理の味も分からず、食事を楽しむこともできないし、小児期の舌の記憶が構築されない」

 子供の鼻詰まりは大人と違い、表面化しにくい。「言葉で症状が伝えられない」「生まれつき鼻詰まりがあり、症状を“当たり前”と思っている」といった理由からだ。

 だから、〈表〉を参考に親がチェックするしかない。もしかして、と思ったら、子供の鼻詰まりに詳しい医療機関を選び受診すべきだ。

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