医者も知らない医学の新常識

以前とは真逆の報告 イカのコレステロールは健康に良い

イカ刺し(C)日刊ゲンダイ

 イカにはコレステロールが多く含まれています。そのためコレステロール値の高い人は、あまり食べない方がいいと以前には考えられていました。皆さんもそうした話をお聞きになったことがあると思います。しかし最近では、イカのコレステロールは健康に良い、という全く逆の話が、あちこちで言われるようになっています。これは一体どうしたことでしょう? 

 理由は2つあります。1つ目は、血液のコレステロール値が高くなることと、食事によるコレステロール摂取が少し多いこととの間には、それほどはっきりした関係がないことが、研究により明らかになってきたからです。実際、今の国際的なガイドラインには、食事のコレステロールを制限する必要はない、という考え方が示されているのです。

 2つ目は、イカのすり身をネズミに食べさせたところ、コレステロールや中性脂肪という、動脈硬化を進める脂肪の血液濃度は低下した、という研究結果があるからです。イカの筋肉の成分には、どうやらコレステロールの体への吸収を抑えるような成分が含まれているようなのです。これはまだ動物実験の話なので、人間でも同じであるとは限りませんが、イカは良質なタンパク質を多く含み、低糖質・低脂質の食品なので、適度に取ることはむしろ健康にも良い影響があると考えて、大きな間違いはないようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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