がんとは何か

アスピリンが大腸がん予防薬として期待されるのはなぜか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 こうした多くのデータを受けて、16年4月から米国予防医学専門委員会は、50~60代に対し大腸がん予防のための低用量アスピリンの毎日内服を奨励しているという。

 日本でも同様の研究が行われていて、06年から国立がん研究センターと京都府立医大など19施設が参加して、「J―CAPP STUDY」(06~12年)がスタート。大腸がん進行の可能性が高い大腸ポリープを内視鏡で切除した患者311人を低用量アスピリン投与群とプラセボ群に分けて2年後に比較した。結果、投与群は新たな大腸ポリープが約40%減少したことがわかった。

 これほど効果があるのなら、日本でも低用量アスピリンの服用を奨励してもよさそうだが、なぜしないのか?

「実は、『J―CAPP STUDY』で喫煙者と非喫煙者という基準で比べたところ、非喫煙者群では新たな大腸ポリープの発生リスクが63%減少したのですが、喫煙者群では逆に再発率が3・45倍に増えていたのです。その理由はハッキリしていませんが、たばこに含まれる成分が代謝されるときにアスピリン成分となんらかの化学反応を起こし、新たな大腸ポリープを生み出したと考えられています」

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