そのためには、単身で現地に出向くのがベストだと判断しました。普段の手術で使用しているハサミやピンセット、鉗子類といった道具が変わってしまうと手術にかかる時間に大きく影響してしまうため、それらの器具類は同行者に運んでもらいましたが、医療スタッフは自分ひとりです。これまで何度もベトナムに招かれて現地の医療を視察しているので、ベトナムには超高齢の患者や人工透析患者はいないことがわかっていましたし、再手術もほとんどありません。それほどハイリスクな患者はいないから単身でも問題ないと判断したのです。
■教育効果が大きい
海外で手術を行う場合、いちばん無難で安心できるのは、使い慣れた手術室をそのまま現地に“移動”させるパターンです。助手、麻酔科医、看護師といったスタッフはもちろん、機材や薬剤、消耗品なども丸ごと現地に運び、自国の手術室を“再現”するのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」