近づく子供の自殺最多の日…兆候と親の対処法を医師に聞く

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■親が価値観を変えることが重要

 実際、「子供が相談してくるまで待つ」と思っているうちに手遅れになる場合も少なくない。子供はSOSを発していたのに、それに気づくべき家族が真剣に受け止めなかったばかりに「誰も頼りにならない」と絶望したとみられている。

 自殺リスクの高い子供たちに絶対的な対処法はないが、まずは子供たちが話ができるような雰囲気をつくり、最後まで話を聞くという姿勢を見せることが大切だという。このとき、子供が「学校に行きたくない」と言ったら、それを否定せず、学校や世間が押し付ける「良い成績を取って良い学校に入ることが幸せ」という価値観を否定し、多様な生き方を示すことが重要だ。

「いまの子供たちは、偏差値という単一の価値観に縛られすぎです。偏差値が高い学校は良い学校で、そこにいる生徒は幸せになると思い込んでいるのです。でも、難しい英語が読めないとか、微分積分がわからないからといったって、それで将来不幸になるわけではありません。実際は、学校もいろいろです。難関大学を目指して猛勉強させる学校もあれば、料理を作ったり、測量技術を競うなど、実習系の勉強をしている学校もあります。それぞれのやり方で、人生を充実させるための方法を教えてあげればいいのです」

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