2017年は約8万9100人の女性が乳がんと診断され、約1万4400人が亡くなりました。死亡者数はこの30年で3倍で、今では11人に1人の女性が乳がんになる計算です。
47都道府県でみると、乳がんが最も多いのは東京で、最少の鹿児島の2倍以上。東京の出生率が全国最低であることに関係があると思います。閉経後の肥満と運動不足も乳がんのリスク要因で、これらも東京の患者数を押し上げている可能性が高いでしょう。
先ほど、肥満がリスクのひとつと書きましたが、肥満大国の米国では、この30年で乳がんによる死亡率が3割も減少しました。逆に日本は3割近く上昇しています。日本のメタボ化が進んだとはいえ、米国ほどではありません。なぜかというと、意識の差です。
乳がんは、腫瘍が2センチ以下で、リンパ節への転移がなければ、9割は完治します。早期発見ほど治癒率が高く、比較的タチのいいがんです。その点で乳がん検診の受診率を見ると、米国は85%ですが、日本は半分以下の4割。この差が、死亡率の差につながっているとみられます。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁