Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

さくらももこさんの命を奪った乳がんを早期発見する方法

さくらももこさん(C)共同通信社

 早期発見のカギがマンモグラフィーで、厚労省は2年に1回の受診を推奨。ただし、日本人を含む東洋人は、8割がデンスブレストと呼ばれる高濃度乳腺で、マンモで見つけにくいタイプ。これには、超音波が有効です。さらに、毎年検診を受けても見つけられないほど進行が速いタイプが2割あります。

 そこで、ベターな早期発見方法は、2年に1回の「マンモ検診+超音波検査」と毎月の自己触診です。自分の乳房の感触を覚えておき、変化があれば迷わず専門医を受診すること。触診の日は毎月決まった日がよく、生理がある方なら、出血が止まって4、5日目がいいでしょう。

 マンモは放射線です。進行が遅い8割の方が毎年受けると、過剰検診による被曝の問題があります。検診は2年に1回のマンモと超音波で、毎月の自己触診が無難。50代でパートナーの女性を失うのは、男性にとってもショックが大きいこと。定期的な“ダブルチェック”で乳がんが早期に見つかることは、決して少なくありません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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