2018年 がん最前線

40~50代の働き盛りが罹患するがんは何が多いのか?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 漫画家のさくらももこさんが53歳の若さで乳がんで亡くなった。2016年にがんで死亡した人は、男性21万9785人、女性15万3201人の合わせて37万2986人。

 生涯で、がんに罹患する確率は男性62%、女性46%。そのうち、がんで死亡する確率は男性25%、女性16%となっている。

 とはいえ、がんに罹患するのは圧倒的に75歳以上が多く、40歳男性が20年後の60歳までに死亡する確率は2%しかない(表参照)。要するに、80歳や90歳まで長生きしないと、がん患者にもなれないのだ。

 ところが、さくらさんのように、若くしてがんで亡くなる人もいる。働き盛りの40代、50代でもかかるのは何がんが多いのか?

 国立がん研究センターによると、「男性では、40歳以上で胃、大腸、肝臓がんの死亡が多くを占めるが、70歳以上ではその割合はやや減少し、肺がんと前立腺がんの割合が増える」という。

 同様に女性は乳がん、子宮がん、卵巣がんが若い人でもかかりやすいという。この場合、若年ほど罹患しやすいというのではなく、他の部位に比べて若年の患者の割合が高いということ。

 例えば、前立腺がんで亡くなった男性は16年に1万1803人いたが、その約9割が70歳以上。もっと言えば、死亡した人の3人に2人は80歳以上だ。前立腺がんは、5年生存率が97%(がん全体の平均62%)、10年生存率も78%と高く、がんを抱えたまま積極的な治療をしない人も多い。

■乳がんはステージⅠの5年生存率が100%

 一方、2万9854人が亡くなった男性の胃がんの死亡割合は、40代から60代で26%。亡くなった人の4人に1人がこの年代となっている。2万7026人が亡くなった大腸がんも、この年代が32%だ。

 女性の場合は、乳がんと子宮がんは45歳以上から顕著に罹患率や死亡率が高まってくる。

 さくらさんが命を落とした乳がんは、昨年も34歳の小林麻央さんが亡くなって世間に衝撃を与えた。16年のデータでも、麻央さんと同じ30代前半までに101人の女性が貴重な命を落とした。乳がんは部位別がん死亡数では5位だが、年代別の64歳までの死亡数では1位なのだ。また、年々その数は増えている。

 全国がんセンター協議会の調査によると、ステージⅠの治療で5年生存率は、胃がんが97.4%、大腸がんが97.6%、乳がんにいたっては100%になっている。若い人でも怖いがんとはいえ、早期発見・治療でリスクは大幅に減る。

 胃がんと乳がん、子宮がんは2年に1回、大腸がんは1年に1回の受診が勧められる。何事も転ばぬ先の杖なのだ。

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