私の中の罪悪感もゼロではない。実はレオナルド・ディカプリオの映画「シャッターアイランド」を見てつらくなった。離島の精神科病院に捜査で訪れた刑事が、実は自身が精神病だったという話だ。
「なぜ自分がここにいるのかわからない」と訴える姿が、父と重なる。人間らしく生きること、それを私が奪ったのではないかと考えてしまった。
エンタメを楽しめなくなるのはよろしくないし、悲観的なことばかり口にするのも周囲に気を使わせて迷惑だ。
まず、できるだけ訪問すること。職員の心証も良くなるし、手も抜かれないはずだ。あざといが、お菓子などの手土産も時折渡す。
そして、父の日常に刺激を入れるために、週2回の訪問マッサージを導入。1回20分で約600円。施設以外の他人と接する機会を増やし、若い女性の有資格者に施術してもらうので、父もちょっとは心華やぐだろう。
私の罪滅ぼしは、父の「快」の感情を増やすこと。それしかない。
実録 父親がボケた