実録 父親がボケた

<19>施設嫌がる父への罪滅ぼしは「快」の感情を増やすこと

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 私の中の罪悪感もゼロではない。実はレオナルド・ディカプリオの映画「シャッターアイランド」を見てつらくなった。離島の精神科病院に捜査で訪れた刑事が、実は自身が精神病だったという話だ。

「なぜ自分がここにいるのかわからない」と訴える姿が、父と重なる。人間らしく生きること、それを私が奪ったのではないかと考えてしまった。

 エンタメを楽しめなくなるのはよろしくないし、悲観的なことばかり口にするのも周囲に気を使わせて迷惑だ。

 まず、できるだけ訪問すること。職員の心証も良くなるし、手も抜かれないはずだ。あざといが、お菓子などの手土産も時折渡す。

 そして、父の日常に刺激を入れるために、週2回の訪問マッサージを導入。1回20分で約600円。施設以外の他人と接する機会を増やし、若い女性の有資格者に施術してもらうので、父もちょっとは心華やぐだろう。

 私の罪滅ぼしは、父の「快」の感情を増やすこと。それしかない。

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吉田潮

1972年生まれ、千葉県出身。ライター、イラストレーター、テレビ評論家。「産まないことは『逃げ』ですか?」など著書多数

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