がんとは何か

がん3大治療のひとつ 「放射線」でがん細胞は死ぬのはなぜ

写真はイメージ(C)PIXTA

「細胞の3分の2は水です。そのためがん細胞に放射線を照射するとがん細胞内の水の電子が叩き出されて、HプラスとOHマイナスに分解します。すると、電子を失って不安定になったOHマイナスがDNAから電子を奪って安定化しようとしたりします。その結果、がん細胞のDNAの塩基配列を狂わせたり、傷つけたりするのです」(一石教授)

 もちろん正常な細胞でも放射線を照射すると、同じようにDNAは傷つく。しかし、細胞修復機能が正常に働くことで修復される。がん細胞はこれが脆弱だ。

「そもそも、放射線に照射されるとがん細胞は正常細胞よりもDNAが傷つきやすいと考えられています。その理由のひとつにがん細胞が正常細胞に比べて細胞分裂のスピードが速いことが挙げられます」(一石教授)

 細胞が分裂、増殖するためにはDNAの2本のはしご状のらせん構造がほどけて、1本鎖になる。それをコピーすることで増殖がスタートするが、1本鎖のときに放射線が当たれば2本鎖の時よりもダメージは大きくなるからだ。

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