牧田ドクター「最強の食事術」Q&A

果物の糖は太りやすく中性脂肪に…食べ過ぎに潜む落とし穴

果物を食べたければ朝食に
果物を食べたければ朝食に(C)日刊ゲンダイ

Q 果物を搾ったジュースを飲んでいますが“太るよ”と言われました。ホントですか?

「果物は体に非常に良い食べ物だ」と信じて疑わない人は少なくありません。特に栄養知識に乏しい男性は、「野菜と同じ自然なものだから、取れば取るほど健康になるだろう」と考える人が多いようです。

 しかし、血糖という点でみると、この考え方は即刻改める必要があります。

 確かに、果物にはビタミンやミネラルといった、微量だけれど毎日のように外部から補わなければならない栄養素がたくさん含まれています。しかし、それは果物以外でも取ることができます。その一方で、果物は糖質の塊であることを忘れてはいけません。

 特に、日本の果物は消費者の口に合わせるため、高い糖度に改良されていますから、注意が必要です。

 それでも「果物に含まれる糖類は、ブドウ糖でなく果糖だから、太らない」と反論する人がいますが、とんでもない間違いです。生化学を学んだ人ならそれがおかしいことは分かるはずです。

 ご飯やパンなどの穀類に含まれるブドウ糖は小腸から吸収されます。そして血液に入り、インスリンの力を借りて全身の細胞に配られ、まずはエネルギー源として使われます。余った分が中性脂肪として体にため込まれるのです。

 果物に含まれる果糖は違います。エネルギー源として使われず、ほとんどが肝臓で代謝されて中性脂肪として貯蔵されます。つまり、太りやすい糖なのです。

 しかも、果糖はブドウ糖に比べて血糖値が上がりにくいとされており、満腹感が得にくいため、知らず知らずのうちに食べ過ぎてしまい、中性脂肪をより体内にため込みやすいのです。

 どうしても果物を食べたい人は、朝食のときだけ時間をかけて、噛んで食べると良いでしょう。間違ってもジュースにしてはいけません。たくさんの果物を使った糖質たっぷりのジュースを寝起きの空腹状態で大量に流し込むのは最悪の取り方です。

牧田善二

牧田善二

AGE牧田クリニック院長、医学博士、糖尿病専門医。1979年、北海道大学医学部卒業。ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで糖尿病の合併症の原因とされるAGEを研究。96年から北海道大学医学部講師、2000年から久留米大学医学部教授。03年から糖尿病をはじめとした生活習慣病および肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開院、延べ20万人以上の患者を診ている。著書に「医者が教える食事術 最強の教科書」(ダイヤモンド社)ほか、多数。

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