がんと向き合い生きていく

一緒に悩み頑張ってください それが医師の私の生き甲斐です

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 膵臓がんで、抗がん剤治療を受けているAさんの独り言です。

 抗がん剤治療での定期の3日間の入院です。採血、エックス線写真を撮ると、明日の抗がん剤の点滴まで何もすることがなくなりました。

 4人部屋で、カーテンを閉め、ベッドに入って、この前と同じ白いボコボコした天井を見てため息をつきました。うるさいのです。そっとしておいてください。うわべだけの優しそうな声をかけないでください。本当に優しいなら、静かにしていてください。

 治らないとはっきり言われた私の気持ちが分かりますか? あと、6カ月の命と言われた私の気持ちが分かりますか?

 それでも、何とかよくなりたいから、少しでも長生きしたいから、我慢してまた、同じ天井を眺めているのです。あなたたちと私は違うのです。 私はあの世に行く列車に乗るために、もう隣の駅を出たかもしれない列車をじっとホームで待っている、そんな身です。ただ、列車に安全に乗るようにと、そうして見送るあなたとは、全然違うのです。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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