医者も知らない医学の新常識

65歳以上でもリスク低下 認知症は生活改善で予防できる

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(写真はイメージ)(C)日刊ゲンダイ

 認知症を予防するにはどうすればいいのでしょうか?

 認知症にはアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症など、多くの種類があります。いずれの認知症も心血管疾患、つまり脳卒中や心筋梗塞など、動脈硬化に伴う病気と関連があり、そうした病気の危険性が高まることで、同時に認知症の危険も高まることが分かっています。最新の脳のMRI検査では、脳梗塞などになる前の、脳の血流の低下や血管の異常などの、ごくわずかな変化を検出することが可能です。

 そうしたMRIを使用した研究によると、中年の頃に不摂生な生活をしていることが、その後の認知症のリスクを増加させることが分かってきました。さらに今年のアメリカ医師会雑誌に発表された論文によると、40歳以下というもっと若い年齢における不摂生も、将来の認知症につながるような変化を既に起こしていることが、確認されているのです。

 それでは、生活改善は認知症の予防に有効なのでしょうか? 同じ医学誌に最近発表された別の論文によると、65歳以上の年齢であっても、禁煙する、適切にダイエットする、魚や果物、野菜をしっかり取る、血圧や血糖、コレステロールを正常に保つ、といった生活改善によって、その後の認知症のリスクが低下することが確認されています。年齢はどうあれ、思い立った時に生活習慣を改善することが、認知症の予防として最も大切であるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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