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20代で胃がん死EXILE中尾翔太さんも? がんは遺伝するのか

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(写真はイメージ)(C)日刊ゲンダイ

【Q】 父が肺がん、母が胃がんで60代で他界。両親ががんの場合、子供も発症リスクが高くなるのでしょうか?(30代・男性)


【A】 結論から言うと、遺伝による発症リスクはそう気にしなくていいでしょう。

 たとえば、先日胃がんで亡くなった「EXILE TRIBE」の中尾翔太さん。詳細は明らかにされていないようですが、22歳という若さを考えると、彼の場合は遺伝性のスキルス性胃がんだった可能性が高いように思います。一方、質問者の方のご両親は60代でがん。この年代以降の発症は、遺伝的要因よりも環境的要因の方が可能性は高いと考えられます。

 遺伝的要因が強いがんのひとつが、スキルス性胃がん。父親あるいは母親が50歳未満でスキルス性胃がんで亡くなっている場合は、早いうちに遺伝子検査の検討をお勧めします。

 ただし、民間の遺伝子検査は精度が低いことが珍しくありません。遺伝の専門医などが関与している大学病院や公的医療機関などでの検査が必要です。遺伝子外来がある病院を探し、亡くなったご両親のがんのデータを持っていってください。今後どうすべきかの相談に乗ってくれ、遺伝子検査を受けられる場合もあります。

 人間の体には毎日たくさんのがん細胞が生まれていて、がん抑制遺伝子が増殖を抑制している。自転車に例えると、ブレーキの役割を果たしているわけです。通常は父親と母親から一つずつ受け継ぐがん抑制遺伝子ですが、生まれつきそのうちの一つが変異している場合があります。

 つまりブレーキが一つしかない状態。一つであっても機能しているうちは問題ないのですが、何らかの原因で故障してしまうと、がんが発症してしまう。それが遺伝的要素の強いがんです。

 遺伝する可能性があるがんの家系の場合は、20代から胃カメラを習慣化するなど、健康診断を怠らないようにしてください。

(下北沢トモクリニック/村上知文院長)

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