子作り治療 最前線

代理出産の最新事情 日本は養子縁組が必要で1回700万円以上

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「代理出産」とは、お子さんを望む夫婦の受精卵(胚)を第三者の女性(代理母)の子宮に移植し、妊娠・出産を試みることをいう。

 一般に、女性の子宮に問題があって、自らの子宮で妊娠・出産ができない場合に検討される先端不妊治療。いわゆる「借り腹」や「ホストマザー」と呼ばれる方法だ。

 国内では法的規制はないものの、厚労省や日本産科婦人科学会の見解では認めていない。希望者は「卵子提供」と同様に、民間業者を介して海外の医療機関で受けることになる。代理出産を試みる日本人は年間100組弱いるとされている。

 日本人向け卵子提供・代理出産の業界最大手のエージェンシー「メディブリッジ」(東京・品川)のスタッフが言う。

「アメリカなどで例外はありますが、誰もが受けられるわけではありません。適応には厳しい基準があり、ロキタンスキー症候群など先天的な子宮欠損や機能不全の場合、がんなどの病気で子宮摘出、原因や治療法が見つからない習慣性流産など、本当に必要な人に限られます」

 創業12年目の同社は、これまで卵子提供では1000組以上の夫婦をサポートしてきたが、代理出産のサポート件数は100組強。それだけ代理出産はハードルが高いといえる。

 ひとつは、費用が1回の治療で700万円以上かかること。同社はウクライナの医療機関と提携している。

「代理出産では、出産するのはご夫婦から見れば赤の他人です。一方、日本の法律は子を産んだ人を母としています。その結果、たとえ遺伝学的には親子関係にあってもご夫婦の子と認められるには特別養子縁組の手続きが必要になります。これらをカウンセリングで十分説明し、理解、納得してからの実施検討になります」

 代理母は21~35歳の現地女性で、最低1人の健康な赤ちゃんを出産している女性に限っている。

 代理出産の成功率は、一般の体外受精での妊娠確率と同等であり、一般の体外受精同様、採卵時の女性の年齢に大きく左右される。適応は医師が判断するので、特に年齢制限は設けていないが、女性の年齢が30代後半まででないと成功は難しいという。

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