人生100年時代の保険術

50歳のあなたは93歳前後を目標に老後を設計する必要がある

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「人生100年時代」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし40~60代のサラリーマンですら、自分が100歳まで生きるなんて、まったく実感がないに違いありません。

 ほとんどの人が「自分はせいぜい平均寿命まで」と思っていることでしょう。最近のニュースによれば、男性の平均寿命は81歳(女性は87歳)だそうです。そのあたりを着地点にして、老後の人生設計をしている人も大勢いるはずです。

 でも、もう少し長めに考えておいたほうが、いいかもしれません。若くして亡くなった人が全体の平均を下げているだけで、平均寿命と「死亡率50%」はイコールではありません。

 同じ年に生まれた1万人の子供のうち81歳まで生き延びるのは約6000人。5000人に減るのはその3年後、つまり84歳になった時点です。

 この年齢を、仮に「半減期」と呼ぶことにしましょう。平均寿命よりも半減期を目安にして、老後設計をするほうが、より安全と言えます。

 ところがややこしいことに、平均寿命も半減期も、着実に延び続けているのです。だいたい10年で2歳ずつの見当です。

 仮にあなたがいま50歳としましょう。今の半減期である84歳を念頭に、老後を考えたとします。ところがあなたが80歳に達したとき(30年後)には、半減期は6歳延びて90歳になっているのです。そこでさらにあと10年頑張って、あなたが90歳に到達したときには、半減期はさらに2歳延びて92歳……。

 怖いですね。結局、50歳のあなたは、93歳前後を目標に老後を設計する必要があるのです。それでも、もっと長生きする確率が、50%も残っています。100歳まで生きる確率ですら、15%に達します。これが「人生100年時代」の意味するところです。

 そんな厳しい時代。あなたの老後を支える医療はどう変わっていくのでしょうか。民間の医療保険やがん保険は、どのくらい頼りになるのでしょうか。

 また、老後に向けた健康維持・増進のために、いまから何を始めるべきでしょうか。今回はそれらの問題を見ていくことにしましょう。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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