愉快な“病人”たち

INSPi奥村伸二さん 有棘細胞がんで鼻の半分を失い再建まで

「鼻が半分ない状態は凄くよかった」と奥村さん(C)日刊ゲンダイ

 でも面白いのは、「俺は今、発狂している」という自覚があったことと、「こんな高い音域まで声が出るんだな」と冷静に考えていたことです。結局、精神安定剤を処方されて、スッと落ち着いたんですけどね。

 その後、つないでいた額の血管を切り離し、鼻の形を少し整える手術をしましてこの夏、ステージに完全復活となりました。実はこれで終わりではなく、あえて肉厚に作ってある鼻を薄くし、耳の軟骨を取って小鼻の形を作るという手術が残っているのですが、手術への恐怖心が抜けないので保留中なんです。

 がんになって一番学んだのは、「本当に人は死ぬんだ」と実感できたこと。頭で分かっていても実際、死を自分の身に感じることはなかなかできないですからね。

 だから、ボクはいろいろ変わりました。最初の手術を終えて、すぐ管理栄養士の学校に通い始めたんです。前々から体調管理の点で栄養に興味があったのですが、仕事をしながらでは無理だと決めつけていました。でも、「やりたいことはやる。迷っている暇はない」と思えるようになりまして……。現在、全日制4年制学校の3年生です。大人になって、本当にやりたいことを自分でお金を払ってやるって最高に楽しいですよ。それが周囲に許されたのも、がんになったおかげかもしれません。

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