カフェインでダイエットが効率よく行える、というような情報はインターネット上に複数存在します。たしかに、カフェインが食欲を抑制する体内物質に影響を及ぼすという研究報告はあるようです。
しかし、実際に食欲が低下するかどうかについて明確なことは分かっていませんでした。
そんな中、カフェインの摂取と食事摂取量の関連を検討した研究論文が、栄養学に関する国際誌の電子版に2018年7月16日付で掲載されました。
この研究では、18~50歳の50人が対象となり、合計で3回の実験が行われました。各実験において、被験者はカフェイン0ミリグラム(プラセボ)、カフェインを体重当たり1ミリグラム(コーヒー約120ミリリットル相当量)、同3ミリグラム(同約240ミリリットル相当量)を、それぞれランダムな順番で摂取しています。カフェイン摂取後にビュッフェ形式の朝食を食べてもらい、さらに就寝するまでの食欲の変化と食事内容を記録してもらいました。
研究の結果、朝食の摂取量は、体重当たりカフェイン1ミリグラムを摂取した後で650.4キロカロリー。カフェイン摂取なしの721.2キロカロリーや、体重当たりカフェイン3ミリグラムを摂取した後の714.7キロカロリーと比べて約10%、統計学的にも有意に減少しました。しかし、1日の総摂取カロリー及び空腹感については、カフェインの摂取有無で明確な差はありませんでした。
食欲抑制効果があるといわれていたカフェインですが、1日の食事摂取量で見ればその効果はほとんど期待できず、この研究では食欲抑制効果も認めませんでした。やはり、根拠のないダイエット情報はうのみにすべきではないでしょう。
カフェインの取りすぎは、頭痛や吐き気などの副作用を招くこともあり、注意が必要です。
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