牧田ドクター「最強の食事術」Q&A

朝食抜きのほうが調子いい…そんな人が身に付けている悪癖

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

【Q】「朝食は食べなさい」と言いますが、私は朝食抜きのほうが体調良く感じるのですが……。

【A】忙しいせいか、仕事をしている人の中には食事の回数を減らす人が少なくありません。特に朝食を抜く人は意外に多い。こういう人は明らかに食事する時間や食べ方に問題があるのであって、長期的には病気のリスクが高まっていると考えたほうがいいでしょう。そもそも朝食抜きのほうが調子が良いという人の大半は、夜遅くに食事をする習慣ができてしまっています。

 消化しきれない食べ物が残った状態で朝食を食べると不調になるのは当然です。こういう人は朝食を抜いたぶんランチでドカ食いし、それを消化するのに時間がかかるから夕食の時間が遅くなる。しかも、満腹感を得ようと再びドカ食いしてしまうのです。

 ドカ食いによる血糖値の急上昇と急下降を繰り返すことは、「血糖値スパイク」といって血管にダメージを与え、循環器系の疾患を増やす恐れがあります。しかも、余ったブドウ糖を脂肪細胞に蓄えさせて肥満や低血糖を招き、糖尿病リスクも高くします。

 今の中高年は学生の頃から「1日3食、間食はしないのが正しい食事」と教えられてきたと思います。しかし、1日に取る食事量が一定なら食事回数を増やして、1回の食事量を減らしたほうが体への負担が少ないことがわかっています。特に糖質は一気に食べないほうが血糖値が上がりません。

 人生100年時代だからこそ、3食以外にちょこちょこと食べる正しい知識と技術を身に付けることが大切なのです。

 ちなみに人間の体内時計の「1日」は24時間ではなく、少し長い24.5時間です。それを日光と食事が調整しています。朝食はその意味でも欠かせないことなのです。

牧田善二

牧田善二

AGE牧田クリニック院長、医学博士、糖尿病専門医。1979年、北海道大学医学部卒業。ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで糖尿病の合併症の原因とされるAGEを研究。96年から北海道大学医学部講師、2000年から久留米大学医学部教授。03年から糖尿病をはじめとした生活習慣病および肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開院、延べ20万人以上の患者を診ている。著書に「医者が教える食事術 最強の教科書」(ダイヤモンド社)ほか、多数。

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